山行名 宮之浦川本流遡行
入山山域 屋久島 宮之浦川本流
山行日 1996年4月30日(火)〜5月5日(日)
メンバー CL原田聖久5 SL井上龍一郎3 西村正也2

行動記録

1996年4月30日(火)雨 起床(8:30)―出発(12:00)―ビバーク(モチゴヤ沢)
 原田、西村の二人は4月27日に屋久島に来て釣りをしていた。先発隊は宮之浦で買い物をして、自転車を押しながら林道を歩く。途中から、土砂降りの雨になる。林道にゲートがあって、そこで井上を待つ。近くの掘っ建て小屋で井上と合流。雨が止みそうにないので、この掘っ建て小屋で行動を打ち切ることにした。

5月1日(水)曇のち晴れ 起床(3:10)―出発(5:10)―林道33号支線分岐(5:30)―分岐発(7:00)―潜水橋、カネオリ谷出合(8:00)―ナベカケ沢出合(9:15)―M5沢出合(10:50)―第三巨石(11:15)―竜王滝(13:20)―ビバーク(18:45)
 林道のゲートを越え、林道を潜水橋まで急ぐ。原付の井上は先に行く。分岐で待っているように言ったが、分岐を見落として違う道へ行ってしまう。自転車の原田、西村は、仕方がないので戻ってくるまで待つ。なんでもないことで2時間もロスしてしまった。気をとり直して潜水橋から入渓する。久しぶりの沢でワラジの感触がつかめない。M4沢出合まではゴーロの沢で技術的に何ら問題ない。前方にスラブが見えるとマンベー淵入口だ。第一巨石は人が通れる穴がありそれを通って抜けた。第三巨石はハングした右岸のスラブを残置ハーケンを利用して乗り越えた。ハーケンは腐っていてハンマーで叩くとハーケンの頭が取れるものもあった。白糸の滝を左に見て、15b滝の右壁のスラブをトラバースした。高度感があってとても怖かった。15b滝を越えると前方に龍王滝が見える。龍王滝は、落差、水量ともすごくて、狭い岩溝を豪快に落ちこんでいる。この滝を見られるのは、宮之浦川を遡行する人だけに与えられる特権である。我々は、龍王滝に左岸のチムニーから取り付いた。空身で登っては荷物を引き上げるという動作を繰り返すために1ピッチを20m位に切っていったので、上の樹林帯まで抜けるのに5ピッチも要した。特に2ピッチ目のチムニーが難しかった。ヌルヌルの滑りやすい岩で上部にチョックストーンがあり、チムニーの幅が体で突っ張れないぐらいになっている。この嫌なチムニーをトップの原田が泣きそうになりながら越える。樹林帯に達したところで日没のためビバークすることにした。高巻き中にビバークすることを考えて下で水を汲んでおいたので水の心配はなかった。

5月2日(木)曇のち晴れ 起床(5:50)―出発(7:20)―龍王滝の上(9:15)―M6沢出合(10:20)―ビバーク(16:00)
 朝一番から龍王滝の高巻きである。急な斜面を藪こぎで尾根まで出て、出発沢を下って20b滝の手前に出る。龍王滝の上は、十字峡になっていて、前方に20b滝が二つの淵をもって落ちていた。20b滝は、右岸を高巻き、岩棚を伝って、滝を3つ越える。沢に降りるとしばらくゴーロの沢ですぐにM6沢出合に着いた。M6沢出合で沢は、直角に折れ曲がっている。この屈曲点にも滝(10b)が懸かっており、見るからに登れそうにない。M6沢を少し登り、頭上の尾根の窓を目指して進む。尾根を越えて沢に入り、一服するとまた前方に滝が現れ、左岸を大高巻き。反対の高塚尾根の方に坊主岩が見える。やっとの思いで沢に降り、右に100mくらいの大スラブを見たところでブッシュの中に平坦地を見つけてビバークした。夜中、前方に見える大スラブが月光に反射してきれいだった。

5月3日(金)晴れのち快晴 起床(5:15)―出発(7:00)―二俣(12:15)―遡行終了(13:30)―宮之浦岳(14:30)―新高塚小屋(16:30)
 出発後、しばらくはゴーロの沢で順調に進む。途中に滝が懸かっていて、右岸を巻く。滝を一つ越える程度だろうと思っていたら、上部は険しいゴルジュで滝が連続していてなかなか沢に降りられない。そうしているうちにだんだん上に追いやられ本流から離れていく。下降点がなかなか見つからないので、仕方なく藪の中を懸垂下降する。幸運にも40mの懸垂下降一回で沢に降りることができた。ここでゴルジュ帯も終わり今まで険しかった沢が嘘のようにナメラの河床になる。右にネマチ、永田岳、小障子が見えてくると、いつのまにか森林限界を越えヤクササ帯になる。二俣に達し、我々は、焼野へ抜ける沢を進んだ。天気がいいので、宮之浦岳に登る。山頂からは、主稜線の山々や七五岳、永田岳が見えた。新高塚小屋へ行く。登山道では安心感から気が抜けてダラダラ歩く。新高塚小屋は予想通りの満員で中に入れてもらえなかった。仕方がないのでフライをかぶって地べたで寝た。このときの寒さは、沢でのビバーク以上だった。

5月4日(土)曇のち雨 起床(5:30)―出発(8:00)―高塚小屋(8:40)―カネオリ谷下降(9:00)―林道(13:40)―潜水橋(14:15)―行動終了(15:00)
 登山者が出発した後にゴソゴソ起きてきて、小屋で食事をする。出発前に雨が降り出す。高塚小屋は、改装されていて、以前のカビ臭さはなかった。雨の中、カネオリ谷を下る。カネオリ谷は、滝が何ヵ所か懸かっているが、簡単に巻けるので技術的に問題はなかった。途中、西村が2回も転ぶ。立派な岩屋で休憩し、沢下りをやめて右岸をトラバースしながら下っていく。雨のため、地盤が緩んでいてすぐ落石をしてしまう。苦労して右岸をトラバースしたが、林道は沢のすぐ上にあった。どうにか無事に林道に着き、潜水橋まで急ぐ。かなり雨脚が強かったので潜水橋を渡れないのではないかと心配していたが、入山日とほとんど水量は変わらなかった。入山日に泊まった掘っ建て小屋に泊まることにした。カネオリ谷にも、ヒルがいて5匹ぐらいに血を吸われ、足が血まみれになった。

5月5日(日)曇 起床(5:30)―出発(7:25)―宮之浦(8:40)
 自転車と原付で宮之浦林道を下る。自転車で林道を下るのは楽でいい。途中で原田の自転車がパンクする。やはり林道を下るならママチャリよりマウンテンバイクである。上りは、3時間かかったが、下りは1時間半で下れた。宮之浦港でビールを飲んで、フェリーが来るまで一眠りする。(西村)

感想
原田聖久 教育学部
 2日目のビバークのとき、大スラブの対岸で焚き火をした。井上は濡れた服を乾かしていた。西村はツェルトを張るためにボルトを打っていた。足下には宮之浦川が轟々と流れていた。薄暗くなっていて大スラブが白く光っていた。小便をしながら俺たちはとてもかっこいい奴だと思った。今度、沢登りをするときはもう少し気楽に行けるところにしようとも思った。みんなお疲れ様。

井上龍一郎 水産学部3年
 今回は上級生と下級生がいたので大変楽な思いをしました。ただ沢登りが久しぶりで勘が戻らなかったので少し危なかった場面もありました。でも何か一つのことをやり遂げた後は気持ちのよいものです。

西村正也 農学部2年
 宮之浦川は、前評判通り険しくて、我々3人は、天気に恵まれたから完全遡行できたのだと思う。小楊子川のときとは違い一見しただけで上れそうにない滝ばかりで、ゴルジュ帯は高巻きの連続だった。上の登山道は、連休で人がいっぱいだったけど、ハーネスをつけてメットかぶって、焚き火のにおいを漂わせながら一般登山者を追い抜いて行くのは快感だった。宮之浦川を遡行できたことで、これからはもっと心臓にいい沢をやりたいと思う。でも、もう一度龍王滝を見てみたい。


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