山行名 モンゴル ムンフセリデク山(3491m)登山
入山山域 モンゴル ムンフセリデク山(3491m)登山
山行日 1999年8月19日(木)〜8月20日(金)
メンバー 香川浩士2 (単独行)

行動記録

1999年8月19日(木)快晴 起床(6:00)―出発(Hanh村)(12:00)―1925m地点(Jeep End Point)(14:10)―1925m発(17:00)―2190m(20:00)
 今朝、ムンフセソデク山に最も近いハンハ村で、俺にとって大事件を聞かされる。「この山は国境地帯の山でモンゴル人にしか登れない。許可証も要るしProfessionalな人間じゃなければ駄目だ。」と言うのだ。しかしここで諦めるわけにはいかない。ありったけの情熱を乏しい英語力に込めて俺の思いを伝えた。するとガイドさんもわかってくれ、結局連れていってくれることになった。
 ジープでいけるところまで行き、そこからは馬で行くことに。乗馬は初めてだったが、意外と簡単であった。広大なムンフセリデクの裾野を馬で進む。この爽快感はどうだろう!!野営地点は低い針葉樹がまばらに生えているところだった。ガイド役のダンバさんが木の低い部分の枝を折り、天然のキャンプサイトを作ってくれた。眼前に見えるムンフセリデクのRoutの確認をダンバさんと何度も行う。地図はない。しかし、この山は頂上まで比較的ゆるやかで顕著な尾根が続いているので、その辿るべき尾根をノートに絵を書いて何度も確認した。その後、ダンバさんは馬を引いて帰っていった。ここからはいよいよ一人だ。明日は申し分ない闘いになるだろう。

8月20日(金)曇時々晴れ 起床(6:00)―出発(2190m)(7:30)―丸い尾根基部(2570m)(8:30)―丸い尾根上の小さなコル(2930m)(9:30)―頂上に向かう尾根基部(3120m)(10:30)―頂上(3491m)(11:29)―東峰頂上(3370m)(13:07)―東峰南東方向の無名峰(3200m)(14:05)―BC着(2190m)(16:30)―1925m地点(Jeep End Point)(18:20)
 朝、焚き火でお茶を沸かし、素早く出発しようとするも、下痢をする。体調が万全でないままの出発。道などない。「丸い尾根」を目指してツンドラのような大地を進む。これこそwilderness!!すごい景色だ。2930m、寒さが増す。長袖着用。ペースはいいが、厚めの雲が出てきたのが心配だ。3120m、核心部を前にカッパと手袋をはめる。東からどんよりとした黒雲が迫ってきている。ここまでは順調だが、できるだけ早く登頂せねばならない。下山も控えているのだから。核心部も近づいてみると岩全体が大きくしっかりしていたので早く突破できた。そして頂上だ。
 ついにやった。山全体の難易度はやさしいものだった。しかし、無風で曇時々晴れと言う気象条件に助けられたという感じだ。まだ安心できない。下山が待っている。下山路はもと来た尾根を帰るのは簡単すぎるので、少しけわしそうな東峰経由の縦走形式にする。主峰→東峰間はピッケルを使うところも出てきてなかなか面白かった。東峰→無名峰間はダイナミックな岩稜帯だ。岩のそれぞれは大きいので浮石に注意さえすれば危険ではない。片側が切れ落ちていて、石鎚山の天狗岳への岩稜を長くしたような印象を受けた。最悪のガレを下ると、あとはひたすら歩いた。Jeepのところまで戻ると、ダンバさん達が温かいスープを作って待っていてくれ、二人とも僕の登頂を喜んでいてくれた。(香川)

感想
 今回、以前からの夢であったモンゴルへの旅をしてきました。剣→槍間の縦走を途中で下山していくということで、心苦しく感じたときもありましたが、部員の皆さんが快く送り出してくれてとても嬉しかったです。その代わりと言ってはなんですが、モンゴルで山登りをしてきました。ルート自体の難しさなどは日本の剣岳のほうがだいぶん難しかったのですが、地図もない登山だったことや、馬でのアプローチしていくといった、日本では考えられない登山を体験できたことが、非常に面白かったです。
 このような辺境の山では、登山行為をするまでが大変で、まず首都からこの地域に来るまでが一苦労で、さらにガイドの手配、山の情報、食料、そして登ること許可等、すべて自分一人で、つたない英語を駆使してやらなければなりませんでした。しかし、それゆえ、充実感はすごいものがあったし、また、自分自身を成長させることができたのだと思っています。
 また情報にはいろんなものがあって、それを確かめるには自分でやってみる外にはないということも実感しました。最初、この山に登ろうとしたとき、「地元の人達はこの山をangry mountain(怒れる山)と呼び、恐れている」とか、「この山はwindy mountain(風の山)だ。昨年の5月、2人のロシア人が滑落死している。」等と物騒な話を聞かされていたので、ジープで山に近づいていくときにはかなり緊張していましたが、実際登ってみると(天候には助けられたが)簡単な山でした。「ウランバートル(この国の首都)は夜8時をすぎたら出歩かないほうがいい。」と言う人もいれば「ここは治安がとてもいいね。」と言う人もいました。こんな部分も、面白いなと思う、今回の旅でした。そして、この旅で一番感じたのは「人の暖かさ」です。ガイドだったダンバさんをはじめ、すぐに友達になったモンゴルの人々、旅先で知り合った日本のBag Packer達、そしてモンゴルから想った山岳部の仲間達。みんな、ありがとう。僕はこれからも、この山岳部で突っ走っていきます。皆さん、これからもよろしく!!
香川浩士


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