夏山二次定着合宿報告
CL香川浩士3 SL矢内英之5 天野稔4

8月17日 晴れ 
【八ツ峰六峰Dフェース久留米大ルート】
起床(2:30)−長次郎谷(4:38)−取付き(7:17)−Dフェース頭−BC着(15:50)
 各縦走隊がテントをたたんでいる間に出発する。八ツ峰にはまだ誰も取付いていないらしく1番取付きだ。必要ない荷物をデポして1P目香川、天野、矢内の順番で登攀開始。良く見ていれば十分ホールドがあり適度の緊張感のある壁を香川迷いながら進み2P目を終える。3P目は核心のハング帯がある人工のピッチ。ここで香川はトップを矢内と交代する。矢内は自分のテーマ曲を歌いながらとばしていく。天野は良い集中力を発揮していた。しかし、残置ハーケンにかけられたアブミにすべてを託して登るときは怖かった。無事ハング帯を超え、残りの易しいピッチを問題なくこなして勝利の一服を吸う。(天野)

8月18日 晴れ時々曇 
【八ツ峰上半、下半】
起床(2:45)−出発(4:00)−長次郎谷出合(5:05)−T、U峰のルンゼ出合(6:05)−U、V峰間のコル(7:05)−X、Y峰間のコル(9:30)−八ツ峰の頭(11:15)−剱岳(12:30)−BC着(15:00)
 今朝、Dフェースで燃え尽きた天野さんとお別れ。お疲れさまです。T、U峰間のルンゼはブロック崩壊の危険があるのでU峰よりのスラブを登る。急登でしんどい。途中雷の落ちたようなブロック崩壊の音を聞く。ルンゼを行かなくて正解。左に寄りすぎたのでU、V峰間のコルに出てしまう。
 V峰直登後に懸垂。W峰直登後に三ノ窓側に懸垂。三ノ窓をしばらく進みX峰が近づいてきたら素直にピークに向かうべし。我々は顕著な踏み跡に騙されX、Yのコルの50m程三ノ窓に下り断崖絶壁に出て引き返しを余儀なくされた。X峰長次郎側にクライムダウン後に懸垂2回。X、Yのコルで大休止。Y峰の登りでばてる。Y峰の右方をフリーで登る。Z峰も直登。岩が脆くなってきているので慎重にクライムダウン。[峰の下りは短い懸垂。そして、八ツ峰の頭へはシビアなフリー。先行パーティーはザイルをつけていた。本峰を越えて剱沢に無事帰りつく。今日はホンマに疲れたヨー。

8月19日 晴れのち曇り 
剱沢〜三ノ窓 天野下山
剱沢BC撤収(7:00)−剱岳(12:20)−池ノ谷乗越(15:15)−三ノ窓BC(16:05)
 推定重量40kgで剱越え。総重量110kgを俺のこの2本の足が支えている。死にかけ(香川のみ)でピークへ…。本峰から池ノ谷乗越の間の道は基本的に稜線伝い。途中、長次郎の頭付近は長次郎谷側を巻く。巻いている途中、岩伝いの所にしっかりとした軟鉄ハーケンとシュリンゲが1つあり目印になろう。重荷が…。クライムダウンで2度死ぬ思いをした。あんまり重いので長次郎のコルにデポ。三ノ窓は池ノ谷乗越から池ノ谷ガリーを30分くらい下り圧倒的な小窓ノ王が間近に来たら右方に5m上がり30m程下ればある。マーキングは何もないのでガスが出ている時などは見過ごさないように注意したい。水は近くの雪渓から1滴ずつ落ちてくるやつを集めて使った。

8月20日 ガス 半沈
起床(7:00)−長次郎のコル(11:00)−三ノ窓(12:10)
 昨日のデポを回収、ただゴロゴロする。

8月21日 曇り時々雨 沈殿
左稜線をやろうと出発。一つのパーティが先行するも取付きまでに降った雨と昨日の雨を考慮して止める。左稜線だけに計3パーティが取付いていた。今日もただゴロゴロ。夕方に大学山岳部らしきパーティがビバークしに来た。

8月22日 晴れ
起床(2:30)−出発(3:50)−左俣支流出合(4:13)−R10取付(5:30)−コルE(6:00)−コルD(6:30)−コルC(8:10)−門(10:15)−ドーム(11:00)−コルB(11:20)−長次郎の頭(13:00)−三ノ窓(13:40)
 ヘッドランプをつけて池ノ谷左俣を下る。地下足袋にアイゼンは足が痛くなってしょうがない。暗くてR4、R5も分からずどんどん下る。途中の雪渓が切れていたが問題なし。R10は見るからに傾斜が緩く小窓尾根側にもルンゼが入っているので一度行けば十分にわかるであろう。確認のためにも少し下ったが結局R10とおぼしきルンゼがR10だった。ルンゼ内は簡単至極。時期によってはブロックの崩壊を警戒する必要があるだろう。コルEから明瞭な踏み跡をたどりコルDから1P目ザイルを出す。右俣側からは雪渓の崩壊音が聞こえる。落石のためか火薬の臭い。「たまには火薬の臭いも悪くない。」コルCで1P、門まで1P、門で2P分のザイルを出す。ドームで初めて休憩らしい休憩をする。コルBからチムニーの出口まで3P分ザイルを出す。奥大日方面からゴロゴロ聞こえたのでせかせかと登る。香川と少々離れてしまったので反省しきり。長次郎の頭で握手をして三ノ窓に帰る。

8月23日 晴れ
起床(4:00)−取付(8:20)−T5(11:20)−チンネの頭(13:35)−三ノ窓(15:00)
 アイゼンをつけ取付へ行く。ルートガイドの2P目より取付く。今日は地下足袋「カー」で登る。下部は似たような岩場で今ひとつ気が乗らない。T5で休んでから核心に登り始める。簡単なフリーだったがガバが浮いている気がするんだけどなあ。似たようなリッジを何Pかたどるとチンネの頭に着く。今日はダレ気味の登攀であった。

8月24日 晴れ
起床(3:30)−出発(5:25)−剱岳(7:20)−一服剱(9:40)−剱御前小屋(11:25)−雷鳥沢(12:40)−室堂(13:30)
 雪渓ズタズタの白萩川から下るのはやめて楽ちんな室堂へ。でもしんどかった。帰りの電車でガキに臭いと言われた。ウッセー。

雑感
教育学部3年 香川浩士
 矢内さんと2人の合宿はいつもきつい。今回改めて思った。しかし、剱尾根やチンネはこの人がいないといけない所だし、やはり感謝したい。
 今回の二次合宿のハイライトは俺の中で剱尾根だ。剱尾根をR10からやるとなると丸1日晴れる日でなくてはならない。天候待ちで2日過ごし、明日には台風が接近してくるだろうという8月22日、満を持して剱尾根に向かった。地獄の様なシルエットをみせる池ノ谷左俣上部をヘッドランプをつけてR10へ急ぐ俺たちは間違いなく格好よかった。その日の日記にはこう書いてある。
<あ〜ついにやったのだ。剱尾根を…。フリーの登り下り等、命が何度も危険にさらされているのを感じた。疲れた。明日はチンネをやれるのか。やるのなら備えなければなるまい。
 最後にチンネを登った日に矢内さんが作ってくれた<チンネ汁>はまことに凄い味がしました。どうすごいかって?<翌日の行動は非常に体が重苦しかった。>とだけ記しておきましょう。矢内さん、天野さん、この計画に親身になってアドバイスをしていただいた米沢先生、縦走でがんばったみんな、仁、まり姉、みんなありがとう。最高の夏だったぜ!

水産学部4年 天野稔
 今回の合宿で僕の出番は1日だけでした。アルパイン初挑戦の僕は岩に飲まれてしまいました。金峰と全く異なる岩がそこにあり自分にやれるのだろうか、Dフェースはガキの遊び場じゃねえと心の中で自分の声が聞こえ、こんな時こそと僕は自分の不安を香川や矢内へ話しました。香川は励ましてくれ、矢内はあっさりと大丈夫だと言ってくれた。この時に僕は初めてやってみようと決意した気がする。こんなことからどうにか登り終えた時には充実感があり心に残る岩登りができました。

農学部5年 矢内英之 
天野、香川と三人で気を使うわけでもなく計画もほぼ消化でき満足しました。来年は源次郎T峰平蔵側と池ノ谷中央壁をやりたいなあ。