八ヶ岳春山2次合宿


八ヶ岳春山2次合宿
期間:2001年3月19日〜2001年3月24日
山域:八ヶ岳
参加部員:CL香川浩士(3) 野口みほ子(2)

3月19日(月) 天気:快晴
≪入山≫
(4:16)起床―(6:00)バス発―(6:50)美濃戸口着―(7:20)美濃戸口発―(13:40)行者小屋―(20:30)就寝
 前日茅野駅にて香川さんと合流。その日は駅にビバる。風通しのいい駅で寒かった。
 今日は入山日だ。皆の差し入れが思った以上に重く、夏合宿以上の歩荷だった。行者小屋まではなだらかだが、非常にきつかった。あまりの荷の重さに、ロボットと化してしまう。行者小屋に着くころには意識が朦朧とし、ぐったりとなる。しかし、途中で見えた大同心と小同心が心を癒してくれた。(文責:野口)

3月29日(火) 天気:快晴
≪雪訓≫
(6:50)起床―(9:30)出発―(10:20)下見―(10:25)雪訓開始―(13:10)休憩―(13:20)再開―(15:10)出発―(15:22)BC着―(20:30)就寝
 今日はとりあえず明日の下見をする。取り付き地点まで行って様子をうかがう。その後、適当な場所で雪訓をする。まずビーコンの使用法や練習をした。1回目はなかなかうまく見つからず苦労する。しかし、2,3回目からなんとなくコツをつかんだ。次に自ら雪の中に埋まってみる。雪崩で埋まったときの感触を味わうのが目的だ。雪の圧迫感は恐ろしい。手足がまったく動かず、次第に息が苦しくなり、自分が死に近づくのが分かる。雪崩には遭いたくないとつくづく思った。そして、S.アックスビレー、コンテ、支点の取り方などの練習した。コンテの練習では私が確保をする番だったのだが、失敗してしまい、4〜5mほど香川さんとともに雪を撒き散らしながら滑ってしまった。でも何度か練習して行くうちに上手くなった気がする。(文責:野口)

3月30日(水) 天気:快晴
≪阿弥陀岳北稜登攀≫
(2:50)起床―(4:35)出発―【10分間のロス】―(5:25)取り付きにて休憩―(5:35)出発―(11:30)頂上着―(12:30)頂上発―(14:20)中岳コルの夏道分岐―(15:00)BC着―(20:00)就寝
 北稜に行く途中、私はゾンデ棒を忘れたと思いテントに引き返したが、結局ザックの中に入っていた。大チョンボをしてしまう。その後、JP過ぎから北稜に取り付く。1〜2P目は岩と雪のミックス。ダケカンバがたくさん生えているので登りやすいが恐ろしい。3P目、1つ目の岩の基部につく。右手の方はガレガレの岩が雪と氷でびっしりと張り付いているような感じ。見た感じ私は絶対に墜落すると予感したので、左の雪稜に回りこんでもらう。4P目、2つ目の岩の基部に出る。ハーケンが2本打ってあったのでそれを使ってビレイをする。岩自体はそんなに難しくはなかったが、岩を越してすぐの鋭角のナイフリッジは雪だけならまだいいが、氷・雪・岩のまさに「ミックス」で独り泣きかぶった。心臓がバクバク鳴っているのが分かった。5P目、今回初のリード。雪稜だが傾斜が結構なものに感じた。右手は雪庇で少し左気味に行く。ダケカンバを雪の中から掘り起こしてビレイをとる。6P目は結構安定した雪稜。しかし、滑落したらおそらくストレートに行者小屋までたどり着くだろう。6P後、10〜15m登ると頂上。広々とした平らなところで、一気に安堵感が襲う。360度の大パノラマだった。下りは登りと同じくらいシビアだった。完全にビビッて滑り落ちるように下りる。雪崩れそうな中岳のコルからの夏道を下ってテントに着く。テントに着くと同時に心臓がキリキリと痛んだ。しかしその後、テントへの意外な訪問者(土竜)により少しは癒された。(文責:野口)

3月22日(木) 天気:快晴
≪小同心右稜下見≫
(5:00)起床―(7:00)行者小屋発―(7:50)主稜線―(9:00)横岳着―(10:55)赤岳―(12:45)行者小屋着―(19:30)就寝
 今日は単独で、小同心稜の下見をかねて地蔵尾根から横岳と赤岳へ行った。ちょっと嫌な箇所は地蔵尾根上部と横岳への2箇所の雪崩れそうな斜面。横岳の頂上近くでカモシカを見た。威風堂々としていた。
八ヶ岳はやはり少々ゲレンデ的だ。山に深さがない。が、テクニックを磨くのにはいいだろう。しかし、これはあくまで晴天のときの印象であることを付記しておく。(文責:香川氏)
≪沈殿≫
 朝食を香川さんととった後、心臓が弱っていたので夜が明けるまでテントでゴロゴロする。夜が明けると、2人分のシュラフを干したり、水を作ったり、夕食を作ったりとダラダラとテント内で過ごす。その後、快適なトイレ場所を発見する。以後、野口用トイレ建設。心臓と神経を休ませるのにはいい日だった。(文責:野口)

3月23日(金) 天気:曇
≪小同心右稜登攀≫
(3:15)起床―(5:00)BC発―(5:50)小同心ルンゼ末端―(12:30)無名峰北稜最高到達点―(16:50)BC着
 朝、赤岳鉱泉への道を急ぐ。八ヶ岳初見参の我々にとっては目指す稜にまず間違わずに取り付くというのが大切だ。小同心は最初ガスに巻かれていたが、やがて夜明けと共にゆっくりと姿を現し始めた。幽玄さえ感じる。小同心稜はどれかということも確認できたが、密な低木林のラッセルが時間を食いそうなので細いトレースのある小同心ルンゼを少し遡る。が、ここからトレース頼りに突き進んだのがまずかった。結果的に言うと知らぬうちに右へ右へと進んだらしく、取り付いたのはおそらく無名峰南稜。最初からやけにシビア。所々氷が出てくる雪壁状を、アイスハンマーを振るって登る。アイスハンマーの威力に驚く。進むにつれてどんどん難しくなってきて、やがて雲間からかなり左方に小同心が現れた時、間違った稜に取り付いたことに気付いた。そこから小同心稜目指して大トラバースを開始。2つ3つ小さな稜を越えて、小同心稜の1つ手前の稜まで来る。途中の小沢のトラバースは、ちょうどザイル1P分の幅で助かる。ザイルをつけて安心なので、沢のトラバースはなかなか楽しかった。
 あと1つ沢を越せば小同心稜なのだが、岩に阻まれて行けないので、今いる稜を登ることにする。が、登るにつれてだんだんシビアになってくる。スタカットで3,4P登って、垂直に近いブッシュのまばらな雪壁を必死で乗越したが、セカンド野口、身長が足りずブッシュをつかめず、どうしても登れない。結局時間切れで撤退することにした。
 下りは懸垂とスタカットで10Pぐらいザイルを出してひたすら下った。今日は無念の敗退だったが、全力を尽くした結果だからしょうがない。いつか八ヶ岳のバリエーションにはまた来たいと思った。(文責:香川氏)

3月24日(土) 天気:快晴
≪下山≫
(4:00)起床―(6:30)行者小屋BC発―(10:00)美濃戸口着
 今日は下山。快晴の中、どんどん下る。順調に下って無事下山。とても爽やかな気分だった。いい山行をありがとうよ、相棒!(文責:香川氏)

・雑感
教育学部 社会専修3年 香川浩士
 この2次、八ヶ岳合宿は、大変充実したものであった。相棒の野口みほ子は根っからの山バカなので、こういう奴と合宿をやると非常に楽しい。どうもありがとう。
 合宿自体も、初級ルートではあったがバリエーションルートを目的としたもので、鹿大山岳部としても意義深いものだったのではないかと思う。雪稜登攀は、とにかく天候と登攀スピードの2つが大きな要素を占めると思った。積雪期では、同じルートでも晴天と悪天ならその困難性は段違いだ。今回は2回の登攀とも一日中晴天もしくは曇りの日を選んでやったので問題はなかったが、北アルプス等の奥深くでレベルの高い山行をやるのならば、悪天でも動ける実力が必要となるであろう。登攀スピードについても、午後から天気が崩れる日等、そのスピードの遅さは致命的なものになってくる。自らの登攀スピードの遅さは結局自らを焦りと恐怖の感情へと追い込むことになるだろう登攀スピードとは、1つは体力を練り上げることであり、1つは一連のザイル操作を素早くやることであり、1つには岩登り技術を上げることであり、そして1つには、絶えず「今日の行動時間」に対する危機感を持つことである。要するに、普段からアルパインの本チャンのロングルートの登り込みが必要ということである。
 最後に、この合宿に関わった皆さん、どうもありがとうございました。そして、まだ2年であるにも関わらず、この積雪期のバリエーションルートを目指した合宿に乗ってきてくれた、勇気ある野口みほ子君どうもありがとう!最高の合宿だったゼ!!

法文学部 経済情報学科2年 野口みほ子
 今回の合宿は計画段階からいろいろとあったが、結果的にとても充実した楽しいものとなった。香川さんにしごかれるのも久しぶりだったし、阿弥陀岳からテントに帰ったときは、生きていることの喜びを覚えた。また、久しぶりに「もう帰ろう。」と思ったりもした。が、BCから大同心と小同心を見上げるとすぐにモチベーションが上がるのはなんとも不思議だった。阿弥陀岳の頂上では至福のひとときを味わった。その「ひととき」を味わえたのは、香川さんがこの合宿に誘ってくれたからであり、経験的に不十分な私をサポートしてくれたおかげだと思う。香川さん、有難うございました。
最後に、今回の合宿でいろいろとお世話になった皆さん、有難うございました。

・反省
* 無名峰北稜の核心で、野口が登れそうにないと言ったのに突っ込んだ。
* 小同心稜で、トレースを追ってしまった為、結果的に稜を間違えてしまった。
* 1次で忙しいと言う事情はあったが、合宿の準備の大半を野口にやってもらった。
* アイゼンで岩場を登るのは、まだぎこちない感じだった。
* 楽しかった。
―――以上香川氏
* 技術的、体力的に香川さんについていけなかった。
* 動物や景色に気をとられてしまい、ビレーを疎かにしてしまった。
* 隠しレーションは持ってきすぎたぐらいだったが、朝食・夕食に工夫をしなかった。
* 香川さんに頼りすぎていた面があった。
* もう少し経験を積んでいくべきだった。
* ビビリすぎて時間を食った。
* 尾根を間違えた。
* 準備が遅かった。
―――以上野口