鹿島槍ヶ岳天狗尾根冬期登攀(敗退)
参加者:山崎(CL・社会人)、山田(社会人)、佐藤(社会人)、伊佐見(鹿児島大学山岳部)

12月26日(金)
羽田12:00〜新宿13:00〜豊田駅17:00〜山田さんと会う22:00〜松本駅1:00
 朝6時に部室を出るつもりだったが、早速遅れる。見送りに来ていた田崎は用事があったため帰ってしまった。すまない。その後7時に宮原さんとサイクリング部の日高に見送られ、部室を発った。今回はバスで空港に行き、飛行機で羽田へ向かった。正直、この合宿の中で飛行機の離陸が一番怖かった。窓側サイコー
 羽田からは新宿へ向かい、登山道具店をぶらぶら。でかいガッシャーのザックを笑われた。そして17時に待ち合わせ場所の豊田駅に行き、22時まで担当の食事を準備しながらぐうたらしていた。
 しばらくして山田さんと対面。がっしりしていて強そうだ。そして車に乗せてもらい、松本駅に向かった。なんでも山田さんは今日が仕事納めらしく、忘年会?を抜けてきたんだとか。社会人は大変だと思った。
 そして翌日1時に到着。山田さんが「3時間仮眠だな」と言っていた。それでだいじょうぶなのか?雪も結構降っているらしいし、少し恐ろしくなった。

12月27日(土)
起床4:30〜大谷原10:30〜天狗尾根基部11:30〜幕営16:30〜就寝20:00
 4時に起床し、山崎さんと佐藤さんを待つが来ない。しばらくすると佐藤さんが来られる。若い。過去には雪のある南アルプスを5人でラッセルしながら、全山縦走したんだとか。この時「あぁこの合宿は大変なことになる」と思った。誰か一人でも俺より体力が無い人がいれば・・・と思っていたが、山崎さんも化け物のような体力らしいし、山田さんもホームページを見る限り、すごい山行をしていたようだし、もっと真剣に体力作りをしてくるべきだったと後悔した。
 一方山崎さんはバスが事故のため遅れたので、予定よりかなり遅くなったが、今日は天狗尾根基部までなので入山することになった。
 車を飛ばし、大谷原の駐車場に着く。やはり誰かのガッシャ−だけ異様にでかい。ただでさえ体力が不安なので、合羽など要らない物を車に置かせてもらった。駐車場からはツボ足で大川沢沿いに歩く。橋を一つ渡ると赤石尾根と東尾根・天狗尾根との分岐である。ここから意外にも天狗尾根までトレースがあったので、ワカンをつけ、佐藤さんを先頭に大川沢にそって一気に基部まで進んだ。途中左足を沢に突っ込んで濡らしてしまったり、対岸の小規模な雪崩のチリが舞ってきたりとまだ登っていないのに楽しかった。
 荒沢と大川沢との分岐に着くと目の前が天狗尾根基部となる。基部には先頭の2パーティがいたので、今まで来たトレースを付けてくださったお礼を言い、僕達は尾根の一番端っこから別ルートで取り付いた。これがかなり急で、僕はラッセルをしていないのに一番遅かった。後ろから何も言わず付いて来てくれる山田さんには申し訳ない気持ちで一杯だった。山崎さんは山田さんが言っていたとおりの変態でラッセルなのに一番元気だった。
 その後一度休憩し、抜き去った2パーティーと一緒に時間一杯までラッセルし、同じところでテントを張った。
 そして夕食・・・の前におつまみやお酒やらを食べ、気分がよくなってきたところでラジオを聞きながら、僕が持ってきた夕食を作った。野菜や差し入れの焼き豚を切り刻んだ鍋だったが、すごい好評で嬉しかった。ラジオでは遭難のニュースが流れていた。

12月28日(日)
起床4:30〜発6:30〜第一クーロアール11:00〜第二クーロアール15:30〜第二クーロアール手前幕営16:30〜就寝20:00
起床し、ラーメンを食す。外は軽く吹雪いているぐらいだった。準備して他2パーティより早く出発する。「出発!」と威勢良く山崎さんに言われたが、僕だけ準備が遅く先に3人だけ行ってしまった。不甲斐無さと孤独と寒さで愚痴りながら焦るがオーバーミトンになかなか指が入らず、中途半端な状態でストックを握り、追いかけた。追いつくと山崎さんがウォッカの入ったケトルを置き忘れてしまったようなので山崎さんだけ一度取りに帰った。
それから他2パーティも追いつき第一クーロワールまでラッセル。途中で1パーティは敗退してしまい(それも突然いなくなってしまった。少しぐらい声をかけてくれればよかったのに・・・)、僕達と2名で構成された別パーティだけになった。第一クーロワールではザイルを出さず一直線に進んだ。
そこからもひたすら腰から胸までぐらいのラッセル。この頃になるともうラッセルが楽しくて仕方がなくなっていた。そして第二クーロワールは別パーティの方がラッセルすることになる。一度第2クーロワールを左上し、木々へ向かって登った。途中で別パーティのセカンドの方が遅れてきたので僕と交代し、僕が登ろうとしていると、後ろから「うわあぁ」と言う声が聞こえる。何だろうと振り返ると、よくは見えなかったが雪崩で一番後ろの山崎さんが20〜30m流されたそうだ。しかしすぐに山崎さんの「大丈夫ー」という声が聞こえたので安心していると「荷物が流されたー」と聞こえてきた。ダブルボッカのために置いておいた別パーティの方のザックが流されて荒沢の方へ流されてしまったらしい。すぐに皆下りて、数人で200〜300m探し、残りのメンバーで手前のコルに幕営することになった。
しばらくして探していたメンバーが戻ってきたが見つからなかったようで、シュラフが無い寒さをしのぐため一晩僕達のテントに1名だけ入ってもらい、レスキューシートや防寒着を貸し出すことになった。5人も入ると確かにギュウギュウだったが、その分あったかく熟睡できた。佐藤さんが持ってきてくださった夕食のカレーうどんは個人的に最もおいしかった。

12月29日(月)
起床4:30〜発6:30〜小屋岩12:00〜天狗尾根基部幕営16:20〜就寝20:00
 起床し、ラーメン。これが変わることは無い。外は晴れていた。すぐに出発するが、相変わらず準備が遅い。山田さんに「その手袋は着けにくいから良くない」と言われるが、それだけが準備が遅い原因ではないのは明白だった。そんな感じでまたグズグズしていると山田さんがテン場のすぐ前で5mほど滑落する。今まで通っていた所だったが、足場の雪が弱くなって崩れてしまったようだ。山田さんは別パーティの方たちに助けられつつ登ってきた。
 その後別パーティとは分かれ、昨日登りきれなかった第二クーロアールを登り、天狗の鼻へ行く。所々膝下ラッセルになるが、大半が腰から頭までのラッセルなのは変わらない。天狗の鼻へ出ると爺ヶ岳、つべた尾根、荒沢尾根、東尾根、五竜岳、去年途中まで登った遠見尾根などたくさん見えた。途中急なところもあったが、バイルを貸してもらい、ダブルアックスで登った。その後も交代でひたすらラッセルし、目標の小屋岩が近づいてくる。最後のラッセルは僕に任せてもらった。ブンブンにとばし、小屋岩手前でゴジラ落としに肩まではまる。この辺りはハイマツ帯であるようだった。初めてのゴジラ落としにキャッキャ言いながら小屋岩にタッチ。少し進んで、登るはずであった岩壁を見る。惜しいなあと思いながらも翌日から冬型の天気になることや僕の実力も踏まえ、ここから敗退。
 下りはガンガン進めるので楽しく、あっという間であった。途中のダブルアックスで登った所は生えている大きな木にスリングを連結して下り、第二クーロアールと第一クーロアールは山側を向きながら下降した。結局ザイルは一度も使わなかった。それからはひたすら下り、1日目のテン場辺りにまた新しいパーティがいた。ここから僕がトップで調子に乗って飛ばす。しかし調子に乗りすぎ基部近くになると膝が言うことを聞かず、こけまくってしまった。そしてついに基部の急傾斜に着く。後ろ向きに慎重に下るが、雪面が硬いのか上手くいかず、沢方向へ滑落。その後もう一度滑落し突破。危なげな下り方なので怒られると思ったが、「どうせあと少しで下界だから別に沢に突っ込んでもいいよ」と言われた。しかもそのあとの3人も滑落で一気に突破!激しいローリング滑落には恐れ入った。
 駐車場はもう少しであったが、荒沢と大川沢の分岐近くに幕営する。とても腹が減ったのでジフィーズにラーメンとバクバク食べた。差し入れの焼き豚が非常に好評だった。

12月30日(火)
起床6:30〜発8:00〜駐車場9:00
 曇り。出発しすぐに駐車場に着く。途中東尾根を登ると言うパーティが2パーティほどいたが、最後の中高年パーティのクラシックすぎる格好には驚いてしまった。駐車場に着いてほっとしていると有名な文登研の講師の方に会った。天狗尾根を途中で敗退してきたと言うと赤石尾根をガイドとして登って鹿島槍のピークを登ってきたと言われた。そして中高年の人たちでもラッセルしながら登れたと強調された。敗退して悪いか。悔しかった。
 それから大町の温泉で疲れを取り、昭和軒というカツ丼屋さんでとんでもない量を食う。幸せで死にそうだった。
 そこから松本駅に送ってもらい、解散になった。部員となら皆でグダグダとしているところなのだが、社会人は忙しいなあと少し淋しく感じた。でも社会人山岳会は思ってた以上に面白かった。

反省
・体力はまずまずだったと思いたい。余裕があるほどではなかったので今やっているランニング・ボッカを継続してできるようになりたい。(最近はグダグダになってしまった)
・ザックのチャックには紐をつけてオーバーミトンを脱がなくても操作できるようにした方が良い
・ 今のオーバーミトンは中身が裏返ってきて装着に時間がかかりすぎるので改造するか、買い替えしなければいけない。アイスクライミングのことも考えて指が分かれていて、グリップが効くものがいいかもしれない。
・ シュラフカバーはやっぱりゴアテックスがいいと思った。自分のだけ水が浸透してきていた。
・ ストックは良い。渡渉にも役立つ。
・ ラッセルは早めに交代するよう心がける。
・ ジフィーズは水の量をきちんと守る。意外と重要かも。
・ 第二クーロワールの雪崩は僕の後ろの佐藤さんがグッと踏み込んだときにクーロアール全体に切れ目が入り発生した。深さが80cmぐらいの面発生表層雪崩だった。ふわふわの新雪だったのでさほど大きくならなかったのだと思う。ただダブルボッカのザックはクーロアールからもっと離れた所に置いておくべきだった。
・ 山田さんの踏み抜きだが、そもそも最初に通った場所が危なかったのではないかと思う。もう少し尾根から離れるべきだったのかもしれない。また昨晩のキジ場が踏み抜いた所の近くだったのでキジ撃ちが原因で雪が弱くなっていたのかもしれない。そうだとすると恥ずかしいなあ。
感想
鹿大山岳部と比べるとかなり寛大な印象を受けた。鹿大山岳部は堅苦しすぎてそもそも最も大事であるはずの「登りたいという気持ち」を持てていないと感じた。山田さんは3時間しか寝る時間が無いのに山に登ろうとするし、山崎さんは300もの計画を立てているが誰も遊んでくれないと愚痴っていた。ちょっと自慢げだったけど。
1日目はどうなるかと思ったが、2日目以降は興奮して仕方なかった。敗退ではあったが個人的には思いっきりラッセルができたので満足だった。少しはラッセル要員として役に立ったと自負しているが、どうだったのかは怖くて聞けなかった。ただ色々と行動が遅く、山田さん、山崎さん、佐藤さんには迷惑をかけてしまった。それでも申し訳ないと思うどころかウォッカや飯をバクバク食べたり、あんまり進まないのにラッセルをなかなか交代せず「あと少し」とわがままを言ってしまった。
そして山行に誘ってくださった山田さんには感謝している。ありがとうございました。
ラッセル最高!

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